「えっじゃぁお前もサッカーやってんのか!」
「うん、一応MFなんだけど」
「へぇ、俺FWなんだ。源田はGK」
「みんな違うね」
クスクス、蜂蜜色がだんだんと赤黒く変わる頃。
すっかり話し込んじゃっていた、だって、この二人もサッカーがとても好きで、サッカーへの想いがとても強くて、良い人だったから。
「頭痛はもう平気なのか?」
「うん、クスリのおかげで治まったみたい」
「そんなに酷いなら入院すればいいのに」
「お父様がだめだって言うから…」
「…お父様、ねぇ〜」
ニヤニヤ、佐久間は私の目を射抜く。
どうやらお嬢様だと思われたらしい。
「なぁ藍、林檎剥いて」
「ん、ナイフある?」
「あ、ないな…借りにいくか」
「あッ私が行くよ 二人とも病人だし」
「お前だって通院患者だろが」
二人のほうが重症なのに、心配してくれて嬉しかった。
私に流れてくる二人の視界≠ゥら感じる心配≠フ感情がくすぐったくて、こんな気持ちをもらえるなら、自分の能力も捨てたもんじゃないな、とか思ったり、する。
「俺たちのキャプテンも、MFだったんだ」
「…今は、転校したが、」
「お前みたいに、すごく悲しそうに笑って、消えたんだ」
「…私が、悲しそうに笑うって…? その人って?」
何故か、何かが、繋がりそうな
でも、聞いてはいけないような気がして…
「ナイフ、借りてくるね」
そのヒトと私は似ているらしい
(でもそのヒトを、知ってはいけない気がする)
[*back][next#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!
|