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夕焼けと君の瞳の色がとても綺麗だ










「源田さん?」


「うん、幸次郎で良いよ」



ふわりと優しく微笑まれる。
女の子は黙っていられないような、甘い笑顔。

病室を教えて欲しいと申し出た、それと、水が欲しいと。


頭痛が治まらない。金の目は眼帯によって多少は制御されているけど、多少の映像は流れ続けているのだ。



「じゃぁ、通院してるんだ、相模さんは」


「藍でいいです」


「じゃぁ藍、って呼ぶから」



点滴を押す左手、カラカラと廊下に響き渡って、他人とは大抵ある重い沈黙など一切感じなくて、何故か、安心した。



「俺、サッカーやってるんだけど、チームメイトも大怪我してさ、相室なんだ」


「大怪我?」


「あぁ…ん、悪いな、聞かないでくれ」



今度は痛々しそうに、また微笑まれた。
オレンジの太陽が沈みそうな頃、病室にたどり着いた。プレートには源田幸次郎と、佐久間次郎と言う名前がやけに記憶に残った。



「…源田、誰、ソイツ」


「待合室で助けた」


「またお得意のお人よしかよ、しかも、女」


「…はじまして」



綺麗な人だった。美人、って言葉は本当なら女の人に使わなくちゃいけないのに、その言葉が不思議としっくりくる。この人が佐久間次郎、私と同じように右目に、私とは違って装飾の施された眼帯をしていた。



「水だっけ?そんなに酷いんだ、頭痛」


「クスリがなくちゃ、血管切れちゃうかもって、お医者さんに言われちゃって、」


「そんなに?重度だな」



苦笑と苦笑の間に、手渡された水を受け取り、渡されたばかりの薬を決まった数取り出し、口の放り込んで流した。これで治まる、大丈夫。



「…目、」


「へ?」


「怪我でもしてんのか?」



佐久間次郎が、私に声をかけた。一心に見つめる私の右目を見つめる彼の目は、淡いオレンジに見えた。



「そ、そうなのッ 怪我、しちゃって」


「…ふぅん、」


「…心配してくれてありがとう」


「…いや」


「…私、目の色素が薄いの、だから目、赤いの」


「…え?」



見つめているのはわかったよ、貴方の心配してくれた右目によって。
そんなことはもちろん言えないけど、何でわかったんだ?って顔をしている佐久間さんに、とりあえず微笑んでおいた。



「佐久間さんの目も綺麗ですね」


「…佐久間でいいよ」


「じゃぁ私も、藍って呼んでよ」










   (私の赤と君のオレンジを足せば、夕焼けの色だよ)












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