キドウユウト
という名前が出てきた。私の長い髪をふわふわと撫でるお父様の膝の上、肘置きに悠々と腰掛けている明王三人で、空中に浮かぶモニターの向こうで、着々と真帝国学園が作られているのを見つめる。
「…キドウユウト?」
「…我が最高傑作」
「! ……帝国学園の、」
「今は雷門中学のサッカー部にいるのだ」
最高傑作
所詮私は実験の一部≠セけれど
鬼道有斗、知っている。
80年間フットボールフロンティアで優勝を続けていた、お父様のサッカー部の、キャプテンだった男。
お父様は、帝国学園に私を通わせることをしなかった。
学校に行っていなかった、実験、実験、実験。
「…藍、」
「はい、お父様」
「学校≠ノ、通ってみたいか?」
「…え、あの…」
「…偵察に行ってほしい」
「…偵察?」
お父様は、鬼道有斗に執着してる、手放したくないらしい。欲しいらしい、誰にも渡したくないらしい。
肘置きに座って、今まで一言も話さなかった明王を見ると視線に気づいたようで、フ、と微笑まれた。
そしてお父様と同じように、優しく、撫でた。
「…親離れできるチャンスじゃねェの?」
「…、わかりました」
親離れのチャンス到来
(一人旅立ち、親のため)
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