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温もりが攫われる










「…ふうん、似合うんじゃん」


「…佐久間、」



全身鏡越しに目を合わせた。
改造された眼帯から覗く目を、もう眼帯をしていない私の目が捕らえる。


初めて着る制服は、今の私にはとても冷たく感じた。
深緑の制服は、女子はスカートとショートパンツの切り替えが効くようになったキュロットスカートで、体のラインが強調されるつくりになっていた。

そのほかに細々としたアイテムも揃っていて、私はニーハイに太めのリボンが通されたブーツを合わせて、ショートパンツに付属のチェーンだけを付けた。




「久しぶりだな」


「…うん」


「……そんなに雷門は楽しかったか?」


「……」


「睨むなよ」



佐久間は私を誘導するように、広い部屋にポツン、と置かれたソファへと歩を進め、私もソレに従いソファへと身を沈める。



「何があって帰ってきたかはなんとなく分かるさ」


「…お父様には」


「言わねーよ、俺が殺されそうだ」


「……私に鬼道のことを聞きたいなら、最初からそうやって聞けばいいじゃない」


「…ソノ目≠ヘ健在のようだな…」



フフン、と佐久間は鼻を鳴らした。
何が聞きたいのか、なんて分かりきっている。

私と鬼道が仲を深めていることも、佐久間はきっと勘付いてるだろう。



「…でも、」


「…?」


「鬼道よりも何か、良いヤツでもいたのか?」


「…!」


「図星か」



ケタケタと、壊れたように佐久間は笑う。
佐久間はこんなにも感情の豊かなヤツだっただろうか、違う、これはきっとエイリア石のせい。

佐久間はいきなり、ピタリと笑いを止めたかと思うと、隣に座る私を力任せに押し倒す。



「…なあ藍、誰だソイツ?」


「…佐久間に教えて、私に利益はないわ」


「じゃあ質問を変える。帰ってきたって事はソイツのこともう、なんとも思っていないわけだろう?」


「……もちろん」


「…なら、」


「っきゃ…ッ」



今度は、力任せに腕を引っ張られて、上半身だけが無意識にも起き上がる。


苦しそうな佐久間の顔が目の前に広がると、いつまでも緊張感の足りない私は、何人目かに唇を奪われることとなってしまった










  カレ≠フぬくもり≠ェ…








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あきゅろす。
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