…みずいろ、だ。
空の色、綺麗な、空色、のほうが正しいかな。
蛍光灯に反射して、天使の輪が見える。
…男の子にそんなこといっちゃいけないけど。
「…目が覚めたか」
「……試合、」
「終わったよ、そして明日、ココを出るって瞳子監督が」
「…風丸、」
「ん?」
「…なんで付き添ってくれてたの?」
「心配だったからだよ」
そういって微笑まれ、水差しに入った水をコップに注いで、手渡してくれた。
眼帯は真っ白だった。風丸が見ている映像だから、確かに。風丸は私が目覚めたことにホッとしているみたい。
「…目、大丈夫か? …怪我してるって聞いたけど」
「ん、大丈夫」
「あんなに血…担架も真っ赤になってたんだぞ? 貧血とかなってないか?」
「大丈夫だって、そんなに心配しないでよ」
「…、そうか」
ふわりふわり、そっと、少し戸惑ったようだけど、私の頭に手を乗せて、軽く私の髪を梳いた。秋がやってくれたのか、サイドに纏められていた髪は解かれ、背中に流れている。
「…綺麗な髪だな」
「風丸こそ、」
「俺なんかたいしたこと無いさ」
「私も、触っていい?」
「…ああ、」
少し近寄ってくれた風丸の、後ろに流れる髪を一束掬って、撫でてみる。サラサラと音を立てて指から滑り落ちていく。手入れが行き届いてとっても綺麗。
「…良い香りとかしそうな髪、」
「ハハ、なんだそれ」
「んー、なんていうか、口付けしたくなる髪、っていうか」
「…藍、そういうの問題発言って言うんだぞ」
「だって、例えが無くて」
お互い頭をふわふわ撫であって、風丸はだんだんこめかみ部分の髪まで到達していってる。私の手のところには結び目。円堂くんみたいな、オレンジのゴム。解いて良いかな、怒られそう。
「…欲しい、」
「え?」
「…いや、なんでもない」
欲しい?
知りたかったけど、風丸は目をあわせてくれることをしなくて、読み取ることが出来なかった。あ、このクセ、直さなくちゃ、
グレイとブルーの髪
(混ぜたら意外と綺麗だよきっと、)
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