「遅いぞ円堂!!」
「悪い悪い、何か盛り上がっててさー」
「…そうみたいだな」
疲れたのか、グッタリと肩を落としている染岡くん、ケータイを手にイキイキしている吹雪くん、私を見るたび赤面していた(今は大分良いらしい)風丸、そしてさっきから目を合わせてくれない鬼道。
困ったな、確かに楽しかったけどやりすぎたかもしれない。これから宇宙人と初対面だ、少しわくわくしてしまう私は非常識かもしれない。
「みんな、こっちに来て頂戴」
瞳子監督が全員を呼び、グルリとみんな周りを囲む。サラサラとした黒髪、憧れてしまう。
「今回は相模さんを試合に出そうと思うわ」
「え…私、良いんですか?」
「貴方の実力を私に見せてみなさい、以上、後はまかせるわ」
クールな人、瞳子監督はそのままスタスタとベンチに戻ってしまう。その時に春奈ちゃんと目が合って、がんばってください!!と口パクされてしまった。
「藍、頑張ろうな!!」
「あ、うん!!えっと…塔子ちゃんだよね?」
「そうそう!!ちゃんなんて付けるなよ、塔子でいいからさ!」
「うん、わかった! 頑張ろうね、塔子」
そう言ってウインクされる。あ、男勝りなのに可愛いクセだな。
各々わらわらと準備運動を始めている中、風丸が私によって来てた。さっきから赤面されっぱなしだったのに、もう良くなたのかな。
「風丸、こうきくのもあれだけど、あの…大丈夫?」
「あ、ああ…大丈夫だ、気にしないでくれ」
「そっか、よかった」
「あ、あのさ…」
「ん?」
まっすぐ瞳を見つめる。チラリとも目を合わせてくれないから、何を考えているかわからない。
あー、眼帯外したい、でも外したらきっと、気持ち悪がれるし…
「…鬼道と、何してた?」
「え…ッ?」
「あっいやッなんでもない!!もう忘れてくれ!!!」
ちょうど良く円堂くんに呼ばれてしまった風丸は、そう捨て台詞を置いて逃げてしまった。足速いなー…。
「……え、」
『…鬼道と、何してた?』
「…もしかして、見られた?」
鬼道、忘れてた。あの飴玉のような真っ赤な瞳に見えた、アイツのココロ、映像。
「どうしたんだよ藍ッ」
「きゃあ!!」
「考え事か?」
「と、塔子…なんでもないよ」
世間で言うモテ期だろうか
俺こんなこと聞いて…藍のこと好きなのか?
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