「…ん、ふ…」
「……」
「…んッん〜〜〜〜〜!!!」
「っ!あッごめんね!?」
「ぷはっ」
正直言うと、明王としたことしかない私。
彼のキスは荒々しくて、そして長かったから
私はそれが当たり前になっていて
「ご、ごめんね風丸…」
「あ…あぁ…」
「よし、じゃぁ次行ってみようか!
ちなみに写メは後で各自ペアに送ってあげるね」
「全員分やる気か!!」
「当たり前じゃないか、よし鬼道くん、次は君だよ」
「……帰ろう、染岡領収書渡せ」
「吹雪が持ってるぞ」
「計算ずくか吹雪ぃぃぃいい!!!」
「当たり前じゃないか」
逃げられたら困るからね、と吹雪君は楽しそう、とってもイキイキしている。
「…風丸、大丈夫?」
「…俺、まともにお前の顔、しばらく見れないかも…」
「…アハハ、」
「右行って…左、また左…」
「…か、確立は2分の1…」
「いまは12分の5だね」
「あ、またアタリ!
ラッキーだね鬼道くん!!」
「……」
確立は五分五分っていっても、結局はその日の運にかかってるわけだから。
私のくわえているポッキーのチョコの部分がどんどん溶けていく。隣にいる円堂くんは食後のお昼寝タイムに入っているようで、すやすやといつもより幼い表情で眠っていた。
「…ね、鬼道」
「…なんだ」
「ゴーグル外すよね?」
「…え、」
「外さないと、ぶつかっちゃうし」
ズイズイと近づくと、鬼道は明らかに困惑した表情で目を逸らした。
そろそろ集合時間になってしまう、これなら染岡君の順番は回ってこないかも、吹雪くんは気付いてないけど。
「…お前は、俺とキスしてなんとも思わないのか?」
「…思わないって言うのは違うけど…嫌じゃないよ?」
「…ッ」
「約束は守らなきゃ、ね」
「…〜〜ッくそ、」
吹雪君はいそいそと携帯をカメラモードに設定して、終いにはフレームまで選んでいるようだ。
「くそ、おぼえてろよ、藍」
「へ? きゃ、ッ」
突然、強い力で鬼道に腕を引っ張られる。
不意のことで踏ん張りが利かなかった私の体はテーブルの下へ、椅子から落ちた。
そして口にくわえられていたポッキーを私の口からスポンと抜くと、素早く彼はゴーグルを外す。
「俺はお前とキスして、何かしら思ってるのだけ覚えておけ」
「えッきど、…っんん」
反射的に目を瞑っていた私はすぐに目を開くと、目の前には、飴玉のように透き通った赤い瞳が二つ並んでいて、同じくらい赤い舌がチラチラと見える鬼道がなんだか、すごく男の子で、
「くそ、藍、おぼえとけ」
「…きっきど、…ッ」
この時、私は裸眼になった鬼道の視界≠ゥら鬼道の感情を読み取ってしまって、その気持ちが私に届いて、今更、後悔した。
吹雪四郎の暴走 2
お前の気持ちがどうだろうと俺は、お前のことが好きなのかもしれない
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