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吹雪四郎の暴走 2








「…ん、ふ…」


「……」


「…んッん〜〜〜〜〜!!!」


「っ!あッごめんね!?」


「ぷはっ」



正直言うと、明王としたことしかない私。
彼のキスは荒々しくて、そして長かったから
私はそれが当たり前になっていて



「ご、ごめんね風丸…」


「あ…あぁ…」


「よし、じゃぁ次行ってみようか!
ちなみに写メは後で各自ペアに送ってあげるね」


「全員分やる気か!!」


「当たり前じゃないか、よし鬼道くん、次は君だよ」


「……帰ろう、染岡領収書渡せ」


「吹雪が持ってるぞ」


「計算ずくか吹雪ぃぃぃいい!!!」


「当たり前じゃないか」



逃げられたら困るからね、と吹雪君は楽しそう、とってもイキイキしている。



「…風丸、大丈夫?」


「…俺、まともにお前の顔、しばらく見れないかも…」


「…アハハ、」


「右行って…左、また左…」


「…か、確立は2分の1…」


「いまは12分の5だね」


「あ、またアタリ!
ラッキーだね鬼道くん!!」


「……」



確立は五分五分っていっても、結局はその日の運にかかってるわけだから。
私のくわえているポッキーのチョコの部分がどんどん溶けていく。隣にいる円堂くんは食後のお昼寝タイムに入っているようで、すやすやといつもより幼い表情で眠っていた。



「…ね、鬼道」


「…なんだ」


「ゴーグル外すよね?」


「…え、」


「外さないと、ぶつかっちゃうし」



ズイズイと近づくと、鬼道は明らかに困惑した表情で目を逸らした。

そろそろ集合時間になってしまう、これなら染岡君の順番は回ってこないかも、吹雪くんは気付いてないけど。



「…お前は、俺とキスしてなんとも思わないのか?」


「…思わないって言うのは違うけど…嫌じゃないよ?」


「…ッ」


「約束は守らなきゃ、ね」


「…〜〜ッくそ、」



吹雪君はいそいそと携帯をカメラモードに設定して、終いにはフレームまで選んでいるようだ。



「くそ、おぼえてろよ、藍」


「へ? きゃ、ッ」



突然、強い力で鬼道に腕を引っ張られる。
不意のことで踏ん張りが利かなかった私の体はテーブルの下へ、椅子から落ちた。
そして口にくわえられていたポッキーを私の口からスポンと抜くと、素早く彼はゴーグルを外す。



「俺はお前とキスして、何かしら思ってるのだけ覚えておけ」


「えッきど、…っんん」



反射的に目を瞑っていた私はすぐに目を開くと、目の前には、飴玉のように透き通った赤い瞳が二つ並んでいて、同じくらい赤い舌がチラチラと見える鬼道がなんだか、すごく男の子で、



「くそ、藍、おぼえとけ」


「…きっきど、…ッ」



この時、私は裸眼になった鬼道の視界≠ゥら鬼道の感情を読み取ってしまって、その気持ちが私に届いて、今更、後悔した。










   お前の気持ちがどうだろうと俺は、お前のことが好きなのかもしれない











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