サラサラ、鬼道の手から零れ落ちる、銀の糸髪。
飽きずにずっと鬼道は、私の髪をいじり続けている。
「鬼道、手、冷たくない?」
「…少しな」
「毛布、入る?」
「…っ、その、」
恥ずかしがるのは、中学生だからかな。
私は気にしないけど、男の子にとっては恥ずかしいのかも…
そう考えた私は、自分から鬼道の隣に行って、覆いかぶさることにした。
「っっ藍、」
「こんな大事なときに、風邪引いちゃうかもしれないし、ね、大丈夫だよ、恥ずかしがらなくて」
「…あ、りがとう」
「どういたしまして」
ついでに持って来ていたポットに入ったココアを渡せば、また緩く微笑まれた。
「…私のお父様も、私の髪、褒めてくれるの」
「…綺麗だからな」
「ありがとう。…それから私、ずっと伸ばしてて、サッカーやってるから切ろうかな、とも思ったんだけど、結局ツインのおだんごにしてるの」
「…お前の、お父様は、優しいな」
「…、あのね、」
「ん?」
「私、私ね、お父様しかいないの、身内が。」
「…そうか」
「お父様に養子として拾われて、愛をくれて、お父様も私のことをずっと、可愛がってくれて」
「……、」
「…でも今、お父様は私のことを見てくれなくなったんだ」
「…どうしてだ?」
「…手に入れたいものがあるって、それに夢中で、私もそれを入手するための手段で…ッ」
ナニを
何を話してるんだ、私は。しかもその、お父様が欲しがっている、鬼道有斗に。
気がついたら鬼道の手は、震える私の手をきつく、握ってくれていた。
「…ある人に、お前は寂しいんだ≠チて言われた」
「……」
「…孤独が、独りぼっちに、なりたくないの…だって、私の唯一の、ただ一人の身内だから…ッ」
「…泣くな、」
「…っふ、ぇ」
「…お前は一人じゃない、俺達がいる、俺がいる」
「ふ、ッ…っく、」
「…俺がずっと、隣にいてやる」
抱きしめてくれたその腕が、とても恋しくて、体温が、ぬくもりが恋しくて
不安だった、このまま離れ続けていたら本当にお父様は、私を忘れちゃうんじゃないかって。
「…俺達が、家族だ」
君のぬくもりが愛しくて
(甘えちゃ駄目だってことくらい、わかってる)
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