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狂ったチームの主将には、









「怒れ!怒れよ!!
お前ら悔しくねぇのかよ!?

あの帝国が一点も取れずに敗北だぜ!?」



伸ばした手が、スルリと落ちた。
あの声は、私は知ってる、あの声の主
私の頭を優しく撫でた、お父様に似た色素の薄い、手。

カランと、静かな廊下に
果物ナイフが落ちた音が響く。



「…だぁれだ?」


「…、あき、」


「藍!来るな!!」



佐久間の声が私を制止する。
源田の肩を掴んでいた明王が、私に近づいてくる。



「…藍ちゃんじゃねぇか、」


「…明王…なにして、」


「お前のおとーさまがな、集めろってさ、」


「っっ!」



私はやっぱり、不運なコなのだろうか。
私は永遠に独りぼっちだ、きっと。手に入れたものすべてが私の手からすり抜けて、消えていく。



「藍…知り合いなのか…?」


「こうじろ…さく、ま…」


「チームメイト」


「っっ」


「俺と同じ、真帝国学園サッカー部の、チームメイトって言ったらわかんだろ?」



ニヤリ、明王は私の肩を引き寄せて、引きずるように二人のところまで進む。



「やめて明王ッ」


「やめる?俺はなァ、藍ちゃん?」


「ッく、」


「こいつらにチャンスを与えにきたんだよ」



赤黒く、空が、闇に落ちていく。
トン、と軽く押されて、私は佐久間のベッドに倒れこみ、佐久間に支えられた。



「…泣くな、藍」


「…さく、ごめん…」


「お前らも、強くなりたいだろ!
悔しいだろ!!強さが欲しいだろ!!!」



源田の手が、明王が首にかけているエイリア石に触れている。
壊れてしまう、紫の光が空間を支配して、明王の言葉が脳内を木霊する。



「…壊れないで、」


「…ら、ん」


「いやだ…っやめ、」



ありがとうって、言いたかったのに。
私の肩を掴む佐久間の手がとても強くて、ココロが痛くて、涙が止まらなくて…



「あの鬼道有斗を超えたいんだろ!?」



鎖が今、繋がった。











   (勝利しか見えていないの、)












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あきゅろす。
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