泣きそうな笑顔に、
佐久間が今日、学校を休んだ
俺のクラスから一番遠い彼女のクラスに、わざわざ出向いて確認したのだから事実だ。
理由は確かでない。
佐久間とはあれ以来一度も会話をしていないし、現に彼女は俺と一度も目を合わせてこようとしなかったのだ。
まさかとは思ったけれど。この日が佐久間にとって大切な日だなんて、ずっと後にわかったことだから、仕様がないで片付けてしまう俺はやはり、佐久間から見れば罪な奴なのだろう。
泣きそうな笑顔に、
「佐久間が泣いてた?」
「ああ…確かだぞ」
どうせ一緒に食う奴いないんだろと、机をくっつけてきた辺見が突然、そんな話を切り出す。辺見は俺の気持ちを悟っているらしく、何かと俺に情報提供してきてくれたりする。
「部室に忘れ物してさ、取りに戻ったら佐久間が出てきて…男子更衣室から出てきたから不思議に思って、よく覚えてるな。」
「……………、」
「不思議に思いながらも部室入ったら、鬼道がいてさぁ…もしかしたらもしかしなくても…」
言い切らずに、辺見はコーラに口をつける。確かにそれは確実に、佐久間が鬼道に想いを告げたのだろう。
そして失敗か…
佐久間が心配になりながらま、どこか酷く安心する自分がいて、複雑な心境だ。鬼道だって人間だ。きっとあれだけ慕われてたのだから、薄々勘づいていたりしていただろう。
「どうすんの?」
口を付けたまま辺見は問う。
「どうするって言われてもな…」
箸を止めながら、俺はひとつ苦笑を漏らす。
「俺も初等部の頃のあいつは噂でしか知らないが、女はな、」
心が砕けている間は、もう別に誰でも良いって思っちまうらしいぜ
それを聞いて、俺は更に苦笑した。
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