つれない態度に、
時折、あいつの話をしている時の佐久間の笑顔に苛立ちを覚える事がある。
分かっていても、自分の気持ちを変えるのは難しくて、つい彼女に冷たくあたってしまう自分に嫌気が差していた。
つれない態度に、
「意味わかんねー…ムカつく」
それはこっちの台詞なんだ、本当は。今まで我慢してきてたけど、こいつが楽しそうに、俺以外のことを話しているのはやっぱり苛々が募るだけで。
「いっつもニコニコしながら聞いてたくせに…何だよ、イキナリ…なぁっ」
無理矢理視界に入ってこようとする佐久間と目を合わせないように、高い空を見上げた。教室内はもう誰もいない時刻で、西日が教室内をハチミツのように染め上げる。
「……何、嫉妬?」
「……………」
「……やっとこっち向いたな。何?俺が鬼道さんの話してるのが気に入らない?」
彼女は呆れたように、疲れた笑みを見せる。佐久間も西日によってハチミツ色に染め上げていて、怒りに任せて襲ってしまおうか。いやいやそれじゃあ一生、佐久間が俺に話しかけることはおろか目を合わせることもなくなってしまう。
「……んだよ…結局お前も、他の奴等と一緒か?」
「……何がだ?」
一年にして築いた、参謀という地位につく彼女は俯いて、小さな体を震わせる。
「……俺のうわべとか見た目とかだけ見て寄ってきて、本当の俺を見ると離れていく……みんな自分が築いた理想で俺を潰す……」
「……さく、」
「分かってくれるのは鬼道さんだけなんだよ!!一年も一緒にいないお前がッ俺がずっと慕って見てきた鬼道さんの話をして聞いてッそれだけで鬼道さんの何が分かるんだよ!!」
我を忘れたかのように声を荒げる佐久間に目を丸くして、すぐに罪悪感にかられる。
彼女は理由もなく、人を慕う奴じゃないのだから
何か理由があるのくらい、少し考えれば分かるのに
「……俺は、源田なら鬼道さんのことと俺のこと、分かってくれるて思ってたから話してたのに…ッ源田の馬鹿!!」
「ッ佐久間!!」
教室を物凄いスピードで出ていった佐久間の後をすぐに追ったが、参謀である帝国のFWの脚力を嘗めてはいけないらしい。もう姿が見えなくて、俺はただ、暗闇に呑まれ始める廊下に1人、佇んだ。
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