Cherry blossom
散るときがくるまで薫れないように
…ああ、やっぱり夢、だよな…?
ゆらゆらと身体を揺らして俺を起こす君は何故か、今まで見ていた長い長い、夢の中の主人公だった気がするんだよ。
愛しさが込み上げてくるのは、何故だろう
あの夢が夢だと思えないのは、何故だろう?
なぁ、俺達って…どうやって幼なじみになったんだっけ…?
チェリーブロッサム
「円堂、桜見に行こう?」
「ああ、行こうぜ!」
そういえば君は、いつから桜が好きだった?
君とは幼なじみなのは頭では理解していても、何故か昔、何をして何を楽しんで、何を求めて何をして泣いたのか覚えていない。違う、記憶が無いんだ。
「俺さ、長い長い夢見てた」
「へぇ…どんな?」
「風丸が桜の妖精で、俺達愛し合ってたんだけど俺はニンゲンだから叶わぬ恋なんだ、お別れだね…みたいな」
「…深い話だな、夢の割には」
クスクスと君が笑うと、それに呼応するように花弁が俺達を包む。あれ…懐かしいのは、この感覚が心地よいのは何故?
「……触れたら、消えちゃうんだ」
「え…っ!?」
「愛した者にしか見せることが出来ない、桜という形以外の姿……触れさせるのは禁夷(キンイ)だけど、自分が愛したニンゲンに触れたくて、触れてほしくて…禁夷を侵し、消えた」
「…風、丸…?」
「最後に神は叶えてくれたんだよ
『来年、会おう』
その言葉を本当にする為に」
夢じゃなかったんだ
君は風丸だったんだ
風丸は君だったんだ
儚い花弁の妖精は俺の幼なじみとして生まれ変わって、また俺達は愛し合う
「………泣くなよ、忘れてたくせに」
「…好き、っ風丸…ッ」
「………俺も、一生離れたくない…ッ」
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