[携帯モード] [URL送信]
02





「……離れたくないん、だ」


「…え?」


「風丸くんから…離れたくない…じゃ、駄目かな?」



はじめてみた、悲しそうな笑み。いつも余裕そうに微笑んで、その猫目を細めて俺を貫くヒロトからは信じられないような、笑みだった。



「…ヒロト、それって…」


「………ごめ、ん…俺……」



君を手放せる自信がない。

結局、そのままヒロトは自分の足元に視線を落としてしまって、俺は思わず視線を泳がせた。

ヒロトは、そういう関係だ。
所詮セフレ、お互い利用し合って、欲求不満を解消しあう、愛のない行為の相手。それだけ、俺には円堂がいる、優しい、優しい円堂が。



「…この前、俺、言ったけど……」


「っ、」





『…好きになっちゃった、ら…君は俺から離れる…?』





「君に円堂くんがいるのは知ってるよ、君が俺のこと、好きじゃないこと、くらい」


「…ヒロ、ト…」


「でも、俺には、俺しか知らない風丸君がいる、円堂くんも知らないような、君を」



だから俺は、俺しか知らない君を手放せない





[*prve]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!