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   夢見心地のキス




厄介払いしておきながら、何だかんだいってこいつは無防備だ。
確かにちょっかいを出す俺も悪いけど、出すなっていう方が無理な相談であって。



「……おーい、風邪引くぞ」


「…ん、」



応接室のソファーに横たわっている佐久間は、少し蒸気した頬を無防備にさらけ出して、長い睫毛を震わせた。



「……やば、」



飛びそうになる理性を必死に抑えて、ひたすら、静かに寝息を立てる彼の身体を揺さぶった。



グレーの空が一面に広がって、今にも雲が泣き出しそうだ。
蛍光灯がチリチリと音を立てて、静寂を奪う。




「……ねぇ、佐久間?」


「…ん…、」
「……起きなかったら、」



そこまで言って、顔を離した。
言わない方が
俺が悪くなるのに



「…殴られませんよーに」




ぽつぽつと降りだした雨と一緒に、半開きの唇にキスを落とした。



そっと唇を離して様子を伺うと、少し身動ぎして、また静かに寝息を立てる。





   (夢見心地のキス)



  殴られなかったってことは…

  脈アリ、かな?









あきゅろす。
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