春の陽気が運んだ幸せ
「……窓際か」
引いたくじに書かれた番号と、黒板に書かれた番号を照らし合わせて、自分の席を確認する。
席替え中の教室内は騒がしくて、すぐに移動して席に着いた俺は、春の陽気でぽかぽかとした日の光を浴びた。
「風丸、席そこになったんだ」
「…半田
ああ、まぁな」
「…ヘェー」
「…?」
そうニタニタしながら去ってしまった半田をひき止めるのをやめた。
あの笑い方はマックスのが移ったのだろうか…?
そよそよと俺の髪を揺らす春の風が気持ちよくて、そのまま眠ってしまいそうになった時だ。
「お、隣風丸かあ!
よろしくな!!」
「…あ、」
紫のパーカを学ランの下に着て、いつものように、器用にバンダナを巻いた髪。
「偶然だなーっ
…あ、授業あたったら教えてな?」
「……、ああ」
満面の笑みをお前にやるよ、叫びたい程嬉しいけど、我慢しよう。
(春の陽気が運んだ幸せ)
偶然なんかじゃない
奇跡だよ、円堂
「…円堂の席、知ってたんだろ?」
「え、何のことかな〜?」
「…からかうのやめてくれ…」
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