泣かせない
雷門中の大きなホールでは、七夕の季節になると大きな笹が飾られる。生徒会の伝統的な行事らしく、生徒会関係に携わる俺ももちろん、この七夕の一大プロジェクトの準備をする。
夜までかかった仕事で、夏は日が長いといってももうとっくに日は沈んで、綺麗な星が瞬いていた。
「…中学生にもなって、お願い事とか、書くんだな」
ポツリ、呟く。
自由に短冊に願い事を書けるように設置された小さな机を撫でる。真夏の夜に、机の冷たさが気持ち良い。
色とりどりの短冊に、自由に書かれた願い事、大きな笹の葉に括り付けられたそれをひとつひとつ読んでいく、部活生だったら全国大会とか、コンクール金賞とか、恋人のものか、一緒に居られますように、とか
「…天馬、」
天馬の短冊を見つけた。よくみたらそこら辺一帯はサッカー部で密集していて、なんだ、皆願い事書いてるんじゃないか、と思わず笑みが零れた。
…願っても、無駄な気がしていた。
所詮空想の織姫と彦星に、星屑に願っても、俺の夢は叶わない、だから七夕なんて、と。
「…ばか、だな……あいつら……」
天馬の短冊には
『キャプテンが笑ってサッカーできますように』
信助の短冊には
『雷門の皆でサッカーを楽しみたい』
三国先輩には
『自由にサッカーをさせてやりたい』
大きな字で、誰よりも汚くて、力強く
『サッカーやろうぜ』と書かれた、短冊
「……泣かせてんじゃないか、結局俺、」
「……ッ、」
こいつらは、馬鹿だ
七夕っていうのはな、自分の願いを願うんだぞ
俺の願いを願ってどうするんだよ、違うだろ。
「…ちがう、」
「…ん?」
「俺は…悲しくて泣いて、るんじゃ、」
「…わかったわかった、じゃあ思う存分泣け、神童」
あまりにも優しすぎた星屑への願いを見て
不覚にも、泣けてきた
泣かせない
俺は、お前達のことを願うよ
----------キリトリ----------
モザイクロール聞いてたら思いついた^q^!!
吐き溜めでも呟いたけど北海道では
8月7日が七夕なんです!!
そうなると織姫と彦星は年1回じゃなくて
年2回は会ってるんだよね、…^q^w
私拓人を泣かせないと気がすまないみたい…
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!