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    男の娘×男の娘





柔和な声が脳を刺激して、心地好い感覚に目を閉じた。
机に伏せた俺の頭をふわふわと撫でるその色素の薄い手を掬い上げる
俺よりも少しだけ大きくて、薄い手。俺の手の重ねるとその肌の白さが一層際立って、儚さを感じてそっと包み込んだ。



「どうしたの?」


「…いや、」


「…小さい手」



クスクスと小さく笑う吹雪は俺の手を握り返したかと思うと、パク、と口にくわえ込んだ。
ねっとりとした感触と温かさを感じて、俺は勢い良く項垂れていた頭を持ち上げた。



「なッ吹雪!?」


「ごめんごめん」


今度はあはは、と少し大きめに声を上げる吹雪。
冷たい風が窓ガラスを叩いてカタカタと音を立てる教室内は彼の笑い声だけが響いて、とろり、と引き抜かれた自身の指を見てゾクリ、とした。



「…可愛かったから、風丸君」


「っ…、可愛い、なんて…」


「あれ、気分悪くした?」


「…いや、」



嬉しいわけじゃない。けど、嫌なわけでもない。
俺は男であって、可愛いなんて褒め言葉の領域には入っていない。

というか、吹雪のほうが可愛い、という言葉が似合っている。
そんなヤツにまさか可愛い、なんて言われるとは思ってもいなかった。



「だって、可愛いじゃない、風丸君」


「お前の方が可愛いだろ」


「なんていうか、優雅?優麗?なんていうんだろ…」



表現しきれないけど、なんとなく
おしとやかで、だけど少し荒くて、少し男らしい

そんな感じ?

男らしい、という言葉からして可愛いはおかしいだろう。
だけど自分で、なんとなく納得してしまってハァ、と溜息が零れた。



「んーと、だから…、」


「っ、ひゃ…ッ」



不意にかき上げられた前髪
吹雪の冷たい手が当たってゾクリ、としてから
今度は温かくて柔らかいものがちゅ、という音とともに降ってきて
俺は思わず腑抜けた声を上げる。



「…そーいう僕にしか聞かせない、声とか
僕にしか見せないそんな表情とか、ね?」



やっぱり可愛いよ、風丸君

そう言って吹雪は
愛らしくニッコリと微笑んだ。








あきゅろす。
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