メールの返事がはやい理由
「…吹雪って、メールの返信はやいよな」
「…え?」
カチカチとリズム良く、受信されたメールに返事をする吹雪の手元を見ながら、俺は独り言のようにそう言った。吹雪とは滅多にメールしないけど(その用事が理由となって、彼に会いに行けるから)、時々したときの返事が物凄くはやい。見ていると、ずっと携帯を持ち歩いている訳じゃないようだし。入浴時間だろうと就寝時間だろうと、やはり関係なくはやい。
「はやすぎるだろ。急いで返事することなんてないのに…」
「そうかなぁ…気にしたことなかったけど。初めて言われたよ」
パチンと携帯を閉じて、当たり前のように俺の横に腰を下ろした吹雪は、そのまま甘えるように肩にもたれかかってきた。ふわふわと頭を撫でてやれば、気持ち良さそうにニッコリと笑った。
「…あ、あれかも」
「あれって?」
「う〜ん…多分、だけどね?」
俺の手元からバッと携帯を奪い取って、カチカチと操作してまた俺に返す。と思ったら、しっとりとしたバラード曲が、吹雪の携帯から流れてきた。
「…この曲、風丸くんだけなんだよね」
「そうなのか?」
「うん。この曲が聞こえたら、何やってても携帯開いちゃって…」
クスクスと、吹雪は笑う。
「…つまり、風丸くんだから、じゃないかな?」
メールの返事がはやい理由
(何時だって、君が最優先)
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