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   俺専用の魔法使い




――――…眠れない





原因はというと、暇だから音楽鑑賞しながら携帯いじってたらいつの間にか昼寝してしまっていたという事。眠れない理由は実にガキっぽいが、起こってしまった事はもう仕方がない。今の時間は深夜の2時。迷惑なのはわかっているけれど、自身の青い携帯をパカリと開けて、少し操作してからまた閉じた。少しの時間待てば携帯が震え、直ぐ様開いて耳に当てた。



『どうした? 佐久間』


「……眠れない」


『昼寝でもしちまったか?』


「…………うるせぇよ」



案の定図星をつかれているから正直に答えてやれば、相手はクスクスと電話の向こうで笑っていた。



「寝てた?」


『いや、実は俺も眠れない』


「奇遇だな、じゃあ走ろうぜ」


『わかった。着いたらメールするから待ってろ』


「…いや、外で待ってるから」


『……どうした? いつもと違うな』


「…うるさい、ばーか」



もぞもぞと布団から這い出ながら嫌味な風にセリフを吐き捨てても、源田はまだ電話の向こうで笑っていた。



「………早く来いよ」


『もういるよ』


「はぁ?!」



勢い良く窓を開け、夜風に髪を撫でられながらも外を確認すれば、携帯を耳に当てたまま軽く手を上げる源田が目に入る。



『佐久間に会いたかっから、』


「……ばーか、」



甘えすぎてはいけないと思っていても、お前はいつも優しいから駄目なんだ。こんな夜に機械越しでしか聞き取れないお前の声じゃ物足りないと思えばほら、俺が願えばほら、叶えてくれるから。だからお前が俺を甘くする。






 (俺専用の魔法使い)




気紛れに抱き締めてと願っても、ほら





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