快 楽 仲 間
欲求不満と言う言葉の意味に納得したのは最近のことだ。最近の俺はおかしい。変な気分になってしまうのは大抵夜だとか聞いたことがあるし、それも体験済みで納得していたけど、今の俺は朝だろうと昼だろうと、ずっと疚(やま)しいものを求めている。
「なんでそんなこと、僕に相談するの?」
「…ヒロトはそういうことに詳しそうだから、つい…」
「……アハハ」
乾いた笑いをしたヒロトは、ホットココアを飲みながら、真正面で正座をする俺の瞳をじっと見つめた。
「……風丸くん、発情期?」
「…否定はしない」
「…えーっと、それは円堂くんにだけじゃなくて?」
「相手が誰だろうと一緒なんだ…えっと……誰でも良い、って言うのはちょっと、違うけど…」
…ふ〜ん、とヒロトは口元に笑みを浮かべる。何か嫌な予感がするのは言うまででもない。すぐに顔を上げて逃げる体制を取ろうとすると、目の前にはもう淡いパステルグリーンの瞳。
「誰でも良い訳じゃないなら、僕はどっちに入る?」
「……な、にを」
練習が終わった部室には、もう誰もいない。誰かが忘れ物でもしない限りは。でも、そんな儚い望みは確率の半分もなくて、ニコニコと近づいてくるヒロトに、ひきつった笑みを向けた。
「風丸くん、可愛いよね」
「…お、お前は円堂なんだろ?」
「…まぁ、本命は」
もう後ろはロッカーで、逃げ場がない。MK5ってこれのことか…なんて冷静にいられる俺は、やっぱりどこかで快楽を求めているのかもしれない。
じりじり、じりじり
パステルグリーンの瞳は確実に俺に迫る。
「…良いよ、僕が。
君のセフレにでもなってあげる」
「…い、」
「バらしても良いんだよ。…君が欲求不満の誘い受けなんだってこと」
「………っ、ん」
相談する相手を間違った
なんて思えなかった。
結局頭のどこかで、こうなることを望んでいたのかもしれない。
降ってきた快楽はひとつも足掻ける自信がなくて、絡んできた細い指を握りしめた。
( 快 楽 仲 間 )
愛し合うだけじゃ、足りないんだ
――――――――――
MK5
→マジでキスする五秒前
桐谷、同じクラスの奴にセフレにならんかとガチで誘われました…厨二病乙orz
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!