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君を信じているから、






一緒に帰ろう?とかご飯一緒に良い?とか言う言葉、吹雪は嫌いみたいだ。嫌いと言うか…言わない。誰かからの承諾を受けなくてはいけない言葉を言わない、わあ、美味しそうだねとか言いながら俺と円堂と豪炎寺と鬼道の中に、今日も弁当の時間にやってきたし、昨日だって、風丸くんは何処か寄り道してくの?とか聞きながら結局俺と最後まで一緒に帰った。

別に良いんだ、気を悪くしたわけじゃないし、そうやって自然と溶け込める吹雪を逆に褒めてやりたい。すごいと思う。



「ね、シェイク飲みたいから寄り道してこうよ」



ほら今日も、自然と俺の隣にコイツは居る。綺麗に風に踊る銀蒼の髪を静かに押さえながら、これまた綺麗に笑顔を浮かべて、俺の了承を待たずに歩き出す。



「なあ、吹雪」


「なあに?」



別に良いんだ、気を悪くしたわけじゃないし、だけど

ちょっと意地悪してやりたくなったんだ。



「…俺、良いなんて言ってないんだけど?」


「…え?」


「シェイク、俺は飲みたくないし」



…で、やり始めて後悔する。
吹雪のショックを受けたような表情を見て、すぐに目を逸らしてしまう。

嘘うそ、そんなこと微塵たりとも思ってないさ、お前が行きたいって言ったら付き合ってやるし何より、お前と少しでも長く居たいしさ。



「……そう…、ごめんね、風丸くん」


「……ぁ、ふぶ、」


「ッ、ごめん!!」


「っ吹雪!!!」




痛々しい笑顔を残して去って行く吹雪。更に後悔が上塗りされた。
追いかけなくちゃ、今追いかければきっと間に合う、吹雪は足が速いけど、チームの中で一番早いのは俺、すぐにとはいかなくても、絶対に追いつく

のに、



「…ッ、」



すぐに追いかけられなかった。ものすごしスピードで視界から消えて行ってしまった吹雪をしっかりと見送ってから、俺の脚はやっと動き出した。


痛々しい笑顔、今にも泣き出してしまいそうな笑顔。
自分のちょっとした悪戯心から、こんなことになってしまうなんて本当に、思っていなかったんだ。吹雪のことだから何か、俺にすら言えない理由があったのかもしれないのに、馬鹿だ、俺。




「…吹雪!!」


「……、」


「…あ、の……ごめん、吹雪、俺…」



曲がっていった交差点の向こう側の公園に、彼は居た。
膝を抱えて、唇を結んだまま動かない。



「……風丸くん、は」


「ッ、」


「僕のこと、いつもそういう風に思ってたんだ…?」


「、ちがっ」


「……違わないでしょう?」


「俺はッ…、」


「…俺は、何?」



説明、しようとしたさ、けど、



「……ごめん、俺…」



吹雪を傷つけたかったわけじゃないんだ、
それだけは本当、だけど、俺が悪いのにそんなこと言ったって、吹雪の傷は癒えるわけじゃない、から、何も言えなかった。



「……、フフ」


「…ふぶき?」


「フフ…ハハハハ!!!」


「ッ吹雪!?」


「面白いなあ風丸君…フフッ」



イキナリ顔を上げて笑い出した吹雪を見て、ハッとした。頬に熱が集まって熱い、クソ、またやられた…



「わかってるよ、風丸くんがそんなこと思わないことくらい、」


「〜〜〜ッ吹雪!!」


「ごめんごめん、」



殴りかかる体制に入るが、吹雪はまた殴ってくるわけないとでも思っているのか、両手を少し挙げて自身の胸の辺りを防御するだけ。

いつもと同じ、優しい笑顔、溶けてしまいそうな、銀蒼の髪



「僕が良い?とか、承諾を得ないような言葉を言わないかはね、風丸くん」


「……なんだよ、」



諦めて吹雪の横に座り込んだ俺を今度は吹雪が見下ろして、ニッコリ笑っいながら何をするのか、俺の左手を掬いとった。



「…信じてるからだよ、」


「…、ッ」









君を信じているから、
僕は君の承諾なんて、分かりきってるんだよ









*―*―*―*



遅くなりましたが…
露亜様よりリクエストの『吹風』でした!!

吹雪は何も言わないけど何でも分かってて
風丸は言葉にしないとわからないけど
吹雪のことは誰よりも信頼してる

みたいなかな、と^^照←


露亜様に捧げます!!
ありがとうございました!!






あきゅろす。
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