噛合わない歯車も何時か油を差せば
知っていますか先輩、俺、先輩のことが好きなんです。
シャワー室から出てくるまで着替えずに待っていた俺が佐久間先輩を壁際に追いやって逃げ場を失くせば、貴方は綺麗な瞳を見開いて、何を言ってるんだ、熱でもあるのか?なんて聞き返してきましたよね。そうですね、あるかも。こんなに人を好きになったのは初めてですから、俺にもどうしたら良いか分からないですよ。
「佐久間先輩は、誰かを好きになったことはありますか?」
「……、」
「貴方は優しい人です、後輩に優しくて、同級生にも悪態を吐きつつもきちんと仲間を思ってる」
「……、成神」
「その優しさが俺を苦しめてたのは分かりますか?」
「…、…」
分かるわけないですよね、貴方は優しいから。
「…後輩だったら、貴方の後輩だったら、貴方に恋しちゃいけませんか?」
「…成神、もう良い、悪かった」
「謝る必要なんてないんです」
「……」
苦しかった、貴方の笑顔を見るたびに
悲しかった、貴方の後輩だと思い知る度に
大切にされている俺が貴方の手によって壊されていたんですよ、じんわりとぬくもりを保ったまま、じわりじわりと俺を溶かしてしまったんですよ
「…貴方の隣に立てたことがない俺なんかが、貴方に恋する資格ないですよね」
「…違う、」
「…だから、今日、こんな自分と決別する為に、貴方に会いに来ました」
「…なるかみ、!」
好きでした、貴方のことが誰よりも
どこにも靡くことのない、凛としていてそれでいて、優麗に俺を惹き付けた貴方を忘れる為に
ねぇ、どうして泣いてるの?
悲しいのは貴方じゃないよ
「…お前を、ただの後輩だなんて思ったこと、ない」
「…せんぱ、」
「苦しい思いをしてたのは俺も、同じだ、バーカ」
ああ、先輩、お互い女々しいですね
不器用すぎて伝えられなかったんだ、お互いの気持ち
すれ違ってすれ違って、かみ合わない歯車が今動き出したかのように
嗚咽を漏らしながら俺のユニフォームの裾を握り締める佐久間先輩はいつもの凛とした貴方でなく、一人の恋するヒトでした
「…じゃぁ、言っても良いですか」
「…なにを?」
「…好き、先輩のこと」
「……あぁ、俺も」
噛合わない歯車も何時か油を差せば
―――――
ユリカ様より『成佐久』でした!!
…ん?結局なんなんだ?←
成神=ドサド
という方程式を今日覆した桐谷←
ユリカ様に捧げます^^
ありがとうございました!!
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!