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強制的に連れられてやってきた伊集院邸。
敷地面積いくつだよ、ってくらいそれはそれは、立派なお宅で。
伊集院が筋金入りのお坊ちゃまであることを知った瞬間だ。
しゃべり方からして何となく普通じゃないとは思っていたけども。
「お帰りなさいませ坊っちゃま。」
門をくぐり庭園を進み玄関の扉を開けると、そこには執事らしき年配の男性の姿があった。
やっぱり坊っちゃまなんだ。
「ただいま、爺。今日は僕の友人を連れて来たのだ!」
そう言って伊集院は僕の肩を引き寄せた。
友人?いつの間に?
僕は困惑しながらも、高校に入って初めてできた“友達”というものに少なからず心が躍った。
「初めまして、東雲七緒です」
ペコリと頭を下げると、お爺さんは顔に深い皺を刻んでニコリと微笑んだ。
「執事の水木です。坊っちゃまがご友人をお連れになるなんて初めてでございますね」
「っ、爺!余計なことはいい!あとで部屋に茶を頼む」
伊集院は慌てて水木さんにそう告げると「着いてきたまえ」と言って屋敷の奥へと進んで行った。
…耳が赤くなってるのは触れないでおこう。
言われた通り後に続くと、伊集院の部屋らしき場所に通された。
広くて高級そうな家具が並んでいて、ベッドなんて大人三人くらいが寝れそうなほど大きい。
僕の部屋とは大違いだ。
「さぁ、寛ぎたまえ」
「う、うん…」
庶民がこんなとこでいきなり寛げるわけがない。
だけど伊集院に気を遣わせては悪いのでソファーに座り“寛いでる風”を装うことにした。
フゥ、とわざとらしく息を吐いたりして。
それを確認した伊集院が向かいに腰かける。
強引さに負けてつい足を運んでしまったけれど、学園のアイドルとの急な展開に頭がついていかない。
「あのさ、何で伊集院は……その、僕をなんで部に誘ったの?」
クラスでも人気者な伊集院、片やクラスでも目立たず暗くて地味な僕。
ただただ謎だった。
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