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恋桜―こいざくら―

  甘く疼き出した空の感情が加速していく。
  貴文に向かって一直線に。   

「…んっ、はぁっ…」 
 
  甘く切ない思いを含んだ口づけが、音を立てて深まっていく。
 
  クチュリ…チュプッ…   
 
「先輩…好きです」   
「オレも…好き…かも」   
「んぁ…う、…んはぁ…」   
「かも…ですか?意地が悪いですね先輩…」 
 
  試すように深められるキスに、心だけでなく身体の中心まで疼かせ始める空が零す甘い喘ぎ…。   
「……んっ」   
「愛してます…先輩」   
「オレも…貴文が好きだ…」 
 
  僅かに唇が離れるたびに紡がれる愛の告白。   
  空が必死に拒んだ、自分と同じ性への恋愛感情。
  だが、きっとそれは“内藤貴文”という人間だから許された特権なのだろう。 
 
  貴文を受け入れた=男でも大丈夫 
 
  空の中に…それはない。    
 

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