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恋桜―こいざくら―
出会いは突然に…1
 
「お―い、空!お前今日ゴミ捨てだぞっ」  
「はぁっ!?何でだよ、昨日もやったじゃねぇかっ!」   
「忘れたのか?今朝の事……」  
 
 忘れたとは言わせねぇぞっ…と、いかにも悪ガキそうに唇の片方だけを吊り上げた笑みに、拳を固く握った。     
 
「じゃぁなぁ―空っ!!」  
 
 足早に教室から出ていく親友に、空と呼ばれた彼の名は “相田 空(アイダソラ)"   唐橋高等学校の3年に、1週間前進級したばかりだ。   
 
「たかが、校門までのダッシュに負けたからって…畜生、英(スグル)の奴っ!!」 
 
  いつも一緒に登校する、中学校からの親友“笹谷英(ササヤスグル)"との校門ダッシュに負けた空は、結局ブツブツと文句を言いながらも、一人校舎裏にある焼却炉まで来ていた。  
 
「明日こそは、絶対に負けねぇかん…なっ!」  
 
 ドサッ 
 高校に入ってからも、僅かな成長しか出来なかった華奢な腕で、力任せに炉の中にゴミ袋を放り投げる。

   その時、空の瞳を微かな光が掠めた。   
 
「眩しっ!」    
 
 空は、突然掠めた光の根源を辿るように視線を游がせた。  
 その時、再び空の瞳に入り込んできた光は、焼却炉から少しばかり離れた茂みの奥から放たれた物だと確信する。    

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