同盟-2[芋虫・三月ウサギ・猫・ネズミ]
※「至福の時」後日談です。
「あのね……」
「……ぶっ!」
吹き出すのも当然だとナイトメアは思う。
何故ならグレイに話そうとしている内容は、以前のアリスには考えられないほど……
「甘い……」
―――――――
まず見えたのは、三月ウサギに膝枕している図だった。
恍惚と耳を触って手触りを楽しんでいる。
そして可愛がっている。
(かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい)
この時の思考が「かわいい」で埋まってしまっていることからも、明白だろう。
(アリスが壊れている……!)
ナイトメアはアリスの変わりっぷりに戦慄を覚えた。
変わるのは良いことかも知れないが、これは明らかに方向性を間違えている。
もっとこう……乙女な方に向かえなかったのか。
「アリスー、いる?」
次に現れたのはチェシャ猫だった。
恐らくはナイトメアと似たような感想を持ったのだろう。
アリスを見て固まっている。
その内羨ましさが勝ったらしく、猫なで声でアリスを誘うが「かわいい」で思考停止している者に、それは効果がない。
「アリス!俺にも俺にも!」
今度は眠りネズミが現れた。
こちらは特に疑問に思うこともなく、アリスに膝枕を強請っている。
チェシャ猫に気付くと、やはり怯えはしたものの逃げる気はないらしい。
アリスの膝は大人気のようだ。
「……じゃあボリスの次は俺の番でいいよね! 俺もアリスに……」
「な〜に言ってんだよ。 順番は俺でお・わ・り。 お前の番なんか来ないね」
「ぴっ! ひ、酷いよ! アリス! ボリスがいじめるよっ!」
アリスを挟んでにゃーにゃーぴーぴーと騒ぐ動物達の争いも、このアリスにとっては「かわいい」で済ませられる問題らしい。
本人たちには笑い事ではない上に、アリス自身が中心人物であるのに、だ。
(……強くなったな、色々と)
少し呆れが混じってしまうのも仕方ないと思う。
ナイトメアは、アリスのただ漏れな思考をいつまで見せられるのだろうか……
続く
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