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普通の小説
『兎と男』



『兎と男』



ある所に樹の実をとる兎が一羽いました。

「あれぇ、どうしたのかなぁ」
兎は倒れている若い男を見つけて助けました。

男は優しい人間でした。


記憶を失っていた男は兎の家で暮らしました。


一年…

二年…


春が過ぎ、夏が過ぎました。


ある年の夏、男は急に兎の元を離れて行きました。

兎は寂しく思いましたが男の帰りを静かに待ちました。




また一年二年と過ぎました。
兎は待ちました。




ある日、兎が庭でお昼寝をしていると夢を見ました。

男が帰ってきて、自分を優しい手でなでるのです。


「ただいま」



優しい男の笑みと言葉に兎は男の胸に飛び込みました。









兎は優しい腕のなかで男に言いました。


「おかえりなさい」









夢から覚めた兎が見たのは、


優しく笑う男でした。
















END


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