普通の小説 『居場所』 『居場所』 私(ワタクシ)がご主人に拾って頂いてから何年たったでしょう。 ご主人は私に言ってくださいました。 『贅沢はさせられないけど…家にくるか?』 私の額を撫でながら言ってくださった言葉を、私は生涯忘れないでしょう。 さて、最近ご主人はお悩みになっているようです。 どうやらお仕事で失敗をしてしまった様で、毎日夜遅くまで家でお仕事をなさっています。 私としてはお体が心配なのですがご主人には聞こえません。 そして昨日の事。 『俺って必要ないよな』 苦笑いを浮かべたご主人は私にそう言いました。 なんて事でしょう! ご主人が必要ないなど有り得ない話しなのです。 私は部屋の隅で落ち込みました。 私ではご主人を支える事は出来ないのです。 あら、ご主人が帰っていらっしゃいました。 バタバタと駆け込んでいらっしゃったご主人は、私を抱いて笑いました。 『今日、課長に褒められたよ』 私は何もする事が出来ません。 しかし、私と一緒に居てくれてご主人が笑ってさえくれればそれで良い。 そう、思うのです。 END 一人の方と『あなたの為に書きます』と約束をしたので書きました。 『私』は猫のつもりで書いていました。 [次へ#] |