貴方は右、私は左(米/ギャグ甘)
その日の天気はあいにくの雨。
特にする事もなかったので部屋で本を読んでいた撫子の、沈黙を破る者がいた。
「撫子―!!!」
そう言いながら撫子の部屋の中に入ってきたのはアルフレッドで。
「撫子、君今暇かい?暇だろう?暇だよなっ?!」
「あ、う、うん。まあ、暇っていえば暇だね…。」
撫子が心の中で、なんでコイツはこんなにテンション高いんだ…と思いながらそう言えば、アルフレッドは目を輝かせた。
「DDDDD!やっぱりかい!そうだろうなと思ったんだよ!」
アルフレッドはそう言ってひとしきり笑うと、撫子を指差して「そこでだな!」と言う。
「今日は撫子を素敵に幸せにしてあげようと思って来たんだ!!」
「素敵に幸せ?」
撫子が首を傾げれば、アルフレッドは「ああ!」と言ってポケットをまさぐり。
そして何かを探しだすと、撫子に差し出した。
「撫子!君を素敵に幸せにするアイテムはこれさ!」
「…ポッキーだね。」
「そう、ポッキーさっ!!!さあ撫子、目を閉じてこのポッキーの先をくわえるんだ!素敵な事が起こるぞ!!」
アルフレッドがそう言えば、撫子は疑いの眼差しでアルフレッドを見つめ。
「………アルフレッドが反対から食べてくるとかは無しね。」
撫子がそう言うと、アルフレッドは「う゛っ!!!」と言って固まった。
そして撫子がため息をつきながら「絶対やだから。無理。」と言うと、アルフレッドは不満そうな声をあげる。
「撫子―…、なんでわかったんだい?君エスパーだったっけ…?」
「いやいや、普通こういう展開になれば誰でも気づくから。ていうかそんなのどこで覚えてきたの?」
アルフレッドが「菊からなんだぞ…」と言えば、撫子は納得したように頷いた。
それから撫子はめんどくさそうにアルフレッドを見る。
「そんなにしたいならフランシスあたりとでもしてくれば?なんで私なのよ。」
「そ、それは絶対に嫌だよっ!!誰があんなおっさんと…!俺は撫子としたいんだ!」
「だから何でよ?」
「だって……、おいしいお菓子を食べた後においしく撫子もいただけるんだろう?ダブルで幸せじゃないか…。」
「…………なっ?!!!」
アルフレッドの言葉に撫子は顔を真っ赤にすると、「菊―!!!」と叫んだ。
「アルフレッドになに変な事教えてんの?!しばいてやる!!!」
撫子はそう言うと部屋から出て、その場を抜けだそうとするが。
「待ちなよ、撫子。」
アルフレッドが、逃がすはずがなかった。
アルフレッドは撫子の腕をつかむと、そのまま引っ張って自分の腕の中に閉じ込め。
「……なあ、俺は君がいいんだ。ダメかい?」
「…………………っ!!!」
アルフレッドが耳元でそう言えば、撫子は顔を赤らめぷいとそっぽを向き。
「…………プリッツでなら考えてあげる。」
撫子がそう言うと
アルフレッドは嬉しそうに笑って
プリッツを取りに走っていった。
貴方は右、私は左
―――
(撫子―!持って来たぞ―っ!!!)
(え、早…って何その量?!)
(お楽しみはこれからだからな!)
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