月のウサギ(英/ギャグ甘)
「アーサー、きれいな月だねー!」
今日は月が最もキレイに見える日、十五夜。
私は十五夜を知らないアーサーに十五夜について説明して、お月見に付き合ってもらっていた。
アーサーも「ああ。」と言って私と同じように月を見上げた。
「たしかに月はキレイだけどよ…、けど撫子、…何でそんなの頭に着けてるんだよ…?」
そう言ってアーサーが指で指したのは私が頭に着けている、ウサギ耳だった。
「だから言ったじゃん。日本の月にはウサギが住んでて、餅つきしてるんだよ?」
「だからって、何でそんな…変な、バ、バニー…みたいなの、っ着けてんだよ、ばかあ!!」
アーサーは顔を真っ赤にしてそう叫んだ。
やべえ、超かわいいんですけどこの人。
「だいたい、何で月にウサギが住んでるんだよ。英国じゃあ、月っていったら狼男だ。」
「いいじゃーん。私は日本人だからウサギでいいですー。」
私がそう言って、月見団子を一口食べてアーサーの方を見ると、アーサーはニヤリと笑った。
「そうか。撫子は日本人だからウサギなのか…。」
「え、ちょっと、アーサー?」
何か身の危険を感じてアーサーから離れようとすると、腕を掴まれて引き寄せられた。
「ばか、逃げんなよ。」
「アーサー…何かすごい身の危険を感じるんですけど…。」
「…撫子は日本人だからウサギなんだよな?」
「ちょ、私の話無視かよ?……まあ、日本人ならウサギだよ。それで?」
「あいにく俺は英国紳士だからウサギにはなれない。だから代わりに…狼男になってやるよ。」
次の瞬間、私はアーサーに押し倒されていた。
「アーサー、やめっ…!」
「ウサギが抵抗するなよ。ウサギはおとなしく狼に食べられておけばいいんだよ。」
「それ食べるの意味違うから!まじで止めて!!アーサーっ!」
「うるさいな。ウサギは鳴かない、だまっとけ。あ、でも喘ぎ声はちゃんと出せよ、その方が興奮するから。」
「黙るのはあんただよ、変態狼!エセ紳士!!エロ眉毛!!!」
「…撫子。」
アーサーは私の名前を呼ぶと顔を近付けてきて、意地悪く笑った。
「そんな事言って…ただじゃ済まないよなあ?」
「…………っ!」
私の背中を冷や汗が伝って、逃げ道を自分で断ってしまっていた事にやっと気付いた。
でも、気付いた時にはもう遅すぎて。
撫子というウサギはその日、嫌という程弱肉強食の世界を知る事になった。
***月のウサギ***
ちょっと遅れたけど十五夜ネタ。
私の所は晴れてたので月はよくみえました!
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