生徒会長の憂鬱2.(英、日/学パロ)
「あー、あったかーい…!」
あれからすぐに生徒会室に戻った私は、もちろんストーブの前に直行した。
かじかんだ手をストーブの温かい風に当てると、温かさがじんわり伝わってくる。
「お前、もうちょっと離れろよ。制服焦げるぞ?」
アーサーにそう言われて、私は適当に返事をしてストーブの近くのソファーに座った。
ふと顔を上げて窓の外を見れば、雪はさっきよりもたくさん降ってきている。
フランシスとアルフレッド、大丈夫かなあ。
風邪とかひかなければいいけど。
そう思っていたら。
「ほら、これでも飲めよ。」
アーサーはそう言って私の前に温かい紅茶を置いてくれた。
私はお礼を言って、一口口に含む。
うん、やっぱりアーサーの紅茶は美味しいなあ。
アーサーは紅茶を飲んでる私をチラッと見てからしばらく私のまわりをウロウロして、それで結局は私とは少し離れた所に座った。
「ねえ、アーサー。」
「なっ、何だよ?」
「そういえばさ、どうして私が困ってるって分かったの?」
私がそう聞けば、アーサーはあっと言う間に顔を赤く染めた。
「ばっ!べ、別に見てたわけじゃねぇよ!!ただちょっと見えただけでっ…………っていうかお前!なんであいつらの制服着てたんだよっ、!!」
「……寒かったから?」
「そ、そっそういう問題じゃないだろバカああっ!!」
あー…えっと、何でアーサーはこんなにも怒ってるわけ?
それもよく分からずに、私は前髪に手ぐしを通す。
その時、私はふと気づいた。
「……………あ。」
「なっ、何だよっ!!バカあ!」
「ん?えっとさ…」
まだ服にフランシスとアルフレッドの匂い残ってるなあ。
私はそう言ってもう一度袖の匂いを軽くかいでから、袖のあたりとか、特にね。とつけ足した。
その瞬間。
気づいたら私は、アーサーに馬乗りになられていた。
そしてアーサーは、
「脱げ。」
と短く私に告げた。
え、ちょ、今なんて?
「アーサー…?それってどういう…」
「洗濯するから脱げっつってんだよ、バカっ!」
「でも、寒いし…」
「じゃあ俺の制服着てろ!」
アーサーはそう言ってブレザーの上を脱いで私に渡してよこす。
そして、アーサーはもう一度大きな声で言った。
「ほら、早く脱げっっ!!」
その瞬間生徒会室の扉が開いて、そっちを見れば硬直してるお兄ちゃんがいた。
どうやら状況とアーサーの言葉を必死に脳内で照らし合わせているらしい。
上着を脱いだアーサー。
押し倒されたような私。
そしてアーサーの
『脱げ。』
すぐに状況の結論は出たようで、お兄ちゃんはにっこり笑って、「撫子に何してるんですか?」と言った。
その笑顔で今度はアーサーが硬直する。
アーサーは小声で、「あ、いや…菊、これは…違っ…」と言っていたが、そんなのお兄ちゃんに聞こえるはずもなくて。
「撫子を離して下さい。」
お兄ちゃんがいつもより低い声でそう言えば、アーサーは跳ぶようにして私から離れた。
そしてすぐにお兄ちゃんは私の所に来てくれて、私を助け起こしてくれる。
「ななな、何で…菊が……!」
アーサーが震える声でそう言うと、お兄ちゃんは私の手をとりながらアーサーの方を向いた。
「撫子と一緒に帰ろうと思って待ってたんです。どうやら、待ってて正解だったようですね。…………ね、アーサーさん?」
アーサーがそれにただコクコク頷けば、お兄ちゃんは、「アーサーさんは随分と良い度胸をお持ちのようで?」と言って。
そして、アーサーに、「あちらでゆっくりお話ししましょうか。」と言うと、
アーサーは逃げ出した。
生徒会長の憂鬱2.
(待ちなさい、アーサーさん!)
(嫌だあああああああ!!)
.
とりあえず終わりです。
なんか脱げって言うアーサーが書きたかっただけです!
東北の冬はしばれるのう。
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