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会長の憂鬱(英、仏、米/学パロ)


学パロ、菊妹です。



「っくしゅん!」


私は寒さのあまり腕をさすりあげた。


私は今、委員の仕事で校門の前に立ってみんなが帰るようすを見守っている。

といっても、今日は部活禁止日だし、もう学校を出て来る人は少ない。

あーあ、アーサーはいいなあ。
会長だからって今は温かい学校の中でお仕事中だし。

はあ、とため息を一つついて、顔を上げれば目の前にはフランシスが立っていた。


「撫子ちゃん、寒いの?」


そう言ってフランシスは顔を覗き込んでくる。


「ん、大丈夫だよ。」


本当は凄く寒いけど、心配かけたらいやだから私はそう答えた。

するとフランシスは、「えー嘘だあ。」と言って私の手を握った。


「うお、冷たっ!!やっぱり撫子ちゃん寒いんじゃん!」

「え…あー、大丈夫だよ?」


私はとりあえず笑ってそう答える。

あーフランシスの手温かいなあ。

そう思っていたらフランシスに「大丈夫じゃないでしょ!」と怒られた。


「撫子ちゃんが風邪ひいて困るのは撫子ちゃんだけじゃないんだから。…ほら、これでも羽織ってなよ。」


その声と共にフランシスは自分の制服のブレザーを脱いで、私の肩に掛けてくれる。


「え…悪いよ、フランシス!フランシスが風邪ひくよ?」

「いいの。お兄さんは大丈夫だから、撫子ちゃんが羽織ってて?」
(ハアハア、今まで俺の肌を包んでたものが撫子ちゃんの肌を包んで…!)

「………ありがとう、フランシス!」


私がそう言った時、遠くからアルフレッドの声が聞こえた。

そっちの方を見ると、アルフレッドはこっちに向かって走ってきている。

アルフレッドは私達と同じ委員会だけど、配属された場所が離れていたんだ。

私は突進してきたアルフレッドにいきなり肩を掴まれた。


「撫子!撫子がなんでフランシスなんかの制服着てるんだい?!」

「あ、えっと、寒いなあって思ってたらかしてくれて…」

「え?撫子寒いのかい?だったら俺のも羽織るといいんだぞ!」


アルフレッドもそう言って私の肩にブレザーを掛けてくれる。

私が「ありがとう。」と言えば、アルフレッドは「俺はヒーローだからな!」と言って胸を張った。

ちょっとモコモコするけど、凄く温かい。

私が思わず制服を肩ごと抱きしめると、すぐにフランシスに手をとられた。


「撫子ちゃん、だめだよ。こんなやつといたらあっと言う間にメタボになるよ?それよりもほら、寒いなら中入ろう?副会長特権で入れてあげる。」


そう言ってフランシスは私の手を引いて歩きだそうとする。

けど、すぐにもう片方の手をアルフレッドに引っ張られて私は止まった。


「DDDDDDDD!フランシス、撫子に触らないでくれよ!危ないじゃないか!さ、撫子!ヒーローが守ってやるからこっち来るんだぞ!」


アルフレッドもそう言って私を自分の方に引っ張る。

二人はすぐに睨み合いを始めた。


「おい、俺のどこが危ないって?少なくともお前といるよりはよっぽど安全だと思うけど?このヒーロー気取り!」

「HaHaHaHaHaHa!クソつまらないジョークだね!変態髭野郎が何言ってるんだい?いっつも下ネタしか考えてないくせに!」

「下ネタって何だよ!それはアーサーだろ?!お前こそ、撫子ちゃんがピンチになっても腹の肉がつかえて動けなくなるんじゃねぇの?!」

「な、何だって?!君、それ俺にケンカ売ってるのかい?!まかさヒーローに勝てるはずないんだぞ!!」

「ああ、受けて立ってやるよ!その腹の肉削ぎ落としてやる!」


フランシス、受けて立たないで。

ていうか二人共すごい勢いで私の手を引っ張ってるから痛い。

でも今の二人に言っても通じなさそうだし…

あー、誰か助けて。

そう思っていた時だった。


「お前ら、撫子に何やってるんだ…………………って何で撫子がそいつらの制服着てるんだよーーっ?!」


救世主が現れた。

アーサーは走って来て、私と二人を無理矢理離して私を背中の後ろに隠してくれる。


「アーサー、何するんだい?!」

「おい、どけよ変態紳士!」

「うるせえバカあっ!お前ら仕事追加だ!グラウンドの見回りもして来い!!」

アーサーがそう言えば、二人は一斉に文句を言いだす。

アーサーはそれを『会長命令だ!』と振り払い、ついでに私が着てる二人の制服も返させた。

二人はしばらくグチグチ言っていたが、制服を着ると、『執権乱用だ』と言って去って行った。



ふと、空を見上げれば雪が降ってきていた。








続きます。







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