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時刻はお昼ごろだろうか。強い日差しが町を照らしていた。


「………!!」


チアキはこの風景をどう表現すればいいのか言葉を失い、息を飲んでいた。

溢れ返る人の数。
活気を見せるお店がぎっしりと並んでおり、店の者は大きな声でお客を呼び込んでいる。


あらゆるお店の中でも特に多かったのは、見たことのない、へんてこな形の木の実を扱うお店で、剥き出しに置いてある木の実に対し興味津々に反応し、チアキはひとつひとつじっくりと時間を掛けて覗き込んだ。



「そんなにすごいか?」

「うん、すごい…っ」


久々にたくさんの人間を見るせいで、恐怖ももちろん胸に渦巻くように感じるのだが、アオイが握ってくれる手のひらの温かさがチアキに大丈夫だと伝えてくれる。




もう、恐れることはないんだ。


アオイに視線を向けると、ふっと笑って手を握り返してくれた。



「さて。まずは、食糧確保だな」


アオイに連れられていくと、奇麗に磨かれる果実だと思われるものや、パンなどを取り扱う店に着く。



「へい、いらっしゃいませ!」


アオイは店員が現れると、なぜか用心深く、フードを深くかぶった。




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あきゅろす。
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