18 「私…いらないから。お腹、いっぱいなんだ…」 遠慮がちな男の子の手にそっと自分のパンを乗せて握らすと、最初は驚いた顔をしていたのに、空腹を満たすため一気にそれを喉の奥へと詰め込み始めた。 「あり…がとう…っ!」 男の子は少し照れながらお腹をさする。 「もう、お腹は大丈夫?」 「………」 どうみたって一食にしては少なすぎる量だ。 少年も正直まだ食べたりないという表情を浮かべている。 チアキは少し考えながらも、きっと頼めば許してくれるのではないかと思って、アオイたちから持たされた荷物をあさり、食糧を少し少年に渡した。 [*前][次#] [戻る] |