14
揺れる瞳。
震わせる白い身体。
そんなチアキに男は、首筋に吸い付いたり、なめ回したりして弄ぶ。
チアキは、ぬるりと男の唾液が自分の身体を汚していく度に、顔を歪めた。
それと同時に目眩や吐き気があらわれてくる。
「……やめっ…、て」
「まだ駄目だ。これからが本当のお楽しみなんだよ」
「……っ!」
男はさらにエスカレートをかけて、そのままワンピースの下から手をいれ始めた。
冷たい男の指先が少女の身体を震わせる。
チアキは目をつむり、唇を強くかんだ。
そして声にならない叫びを上げる。
いやだ。
いやだ…!
だれか…、
だれか……!
――――――助けて!!!
すると突然部屋の外で、大きな悲鳴と物が壊れる音がした。
「何事だ!?」
――ビュウウッ、ドガアアアンッ!!
男は体を起こし、扉を見た。
すると、一陣の風が分厚い扉をいとも容易く跳ね飛ばし、ぽっかりと空いた壁の向こう側から青年が姿を現した。
そして、つかつかと部屋に踏みはいる。
室内だというのに、風は彼の廻りに纏って、次の指示を待っているようだった。
ギラリ。
その吹き荒れる風の中で、赤い光が輝いた。
それは瞳だ。
青年の瞳は鮮血の様に紅く燃え上がる様な色に染まっていた。
「邪魔だ下衆、消えろ」
その赤い瞳がチアキに跨がる男に向く。
強烈な圧力をかけられて、男は言葉を失った。
まるで鬼睨まれてしまったような光景だった。
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