6
*
「……っ…!」
見つからない…
もう、朝なのに…
もう……朝なのに……!
結局一睡も出来ず体が悲鳴をあげているのがよくわかった。
指先も悴んでおり、頭に熱さえ感じていた。
かろうじて意識はあるが、チアキはもうこれ以上の限界を越えることは無理だと感じてもいた。
「あ大変!」
「?」
「あ、あのね…お姉さんごめん…僕いかなくちゃ…」
「……え?」
「…タイムリミットが来ちゃったんだ…本当にごめんねお姉さん…」
「いえ全然…!それよりも探すのを手伝って下さってありが…」
「…僕こそ。ありがとう」
少年は日が出始める頃になると、別れを告げて去ってしまった。鈴の音も気がつけば聞こえなくなっていた。
タイムリミットがどうとか、結局彼が何者なのかわからなかったけれど、それでも一晩一緒に探してくれたことはチアキは大変うれしく思えた。
そして何よりも心強かった。
「………」
ああ、眠い…。
気を緩めればすぐにまた眠気が襲ってくる。
土にまみれた指で目を擦り、ぼんやりする意識のなか施設の窓から見える空を見上げた。
「……………」
日の光が徐々に眩しさを強めた。
「………」
今は何時くらいなのだろうか。
随分時間を忘れ探していた気がする。
「……そこで…なにやってんだよお前」
「!」
ふと声のする方へと顔を傾けると、アオイがぎょっとする顔でチアキを見つめた。
しかしチアキはアオイに怒られると思い、顔を俯かせた。
「……あの…すみません…見つからなかったの…アオイさんの大切な翡翠の小石…」
「翡翠の小石…?」
アオイの表情が一瞬だけ硬く凍った。
「……は、な…なんだよそれ、訳わかんね。…馬路何なんだよアンタ」
アオイはチアキの謝罪に自分が動揺したのを隠そうと、またすぐチアキを粗末に扱うような発言を吐き捨てた。
「…てかお前」
「……?」
「………」
そしてもう一度なにかを言おうとして躊躇い…最終的には何もそれ以上言わなかった。
「………っち」
チアキはアオイが自分に呆れている様に感じとり、これ以上言葉は出なかった。
でも謝罪の気持ちと自分の不甲斐なさに心で何度も謝り通していた。
(結局いつも失望されてしまうんだ)
(私はまた役たたずになったんだ)
ごめんなさい…
「あれ、チアキちゃん……なにその格好」
ジールもアオイと同じようにぎょっとした表情でその場に現れた。
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