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正面玄関からアオイが入ってくるのがみえた。
フォルテーシウの人々はアオイに深くお辞儀をするとなるべく関わらぬように背を向ける。
だからアオイの存在は極めて見つけやすかった。
「アオイ、なにしてんたのさ〜?」
「は?別に、お前には関係ないだろ?」
ジールは口元をにやつかせるアオイの様子に気にはなっていたが、怒りには触れたくないのでそっかと短く答えて今の会話を水に流した。
「なぁジール」
「ん?」
「あのチビはおもしれえな」
「?」
アオイはジールにそう言い残すと自分の用意された部屋へと向かってとっとと去ってしまった。
思い出す数分前の会話。
本当なら否定の言葉を言われようが無理矢理にでも実行させようとは思っていたが。
チビは自ら名乗り出た。
媚びを売る機会が増えた喜んでいるのかよくわからないが、結果としては自分の計画通りに進んだのが最高に可笑しくてたまらなかった。
そう、本当は存在しないのだ。
翡翠色に光る小石等、落としてもいないし、もとから持ってもいない物だったのだ。
さて、どの位であいつはへばるのだろうか。
アオイはチアキの様子や行動を肴にして楽しんでいた。
馬鹿らしい。
人を信用すること事態本当に馬鹿らしい。
騙される方も騙される方だ。
疑うこともせず、真実かも確認をせず、簡単に頷くとは本当に頭の悪い馬鹿としか思えない。
「変なやつ」
アオイは退屈しのぎの悪戯に対して罪悪感等を全く感じることなく、眠りについた。
いつか目障りな存在は勝手に消えてくれるだろうと思いながら。
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