11
「…お前はおれの味方か、それとも、あいつの味方か、…どっちの立場にいるのかもう一度考え直すんだな。」
ぱっと手を離した、何事もなかったようにアオイは去っていく。
「げほっ、げほっ…ぅっ」
むせるジールはその場にしゃがみこんだ。
「げほっ…っ――……はぁ、はあー…」
今のアオイは気に入らなければ相手がどんな奴でも殺す。
そうわかっていたが、いざ自分にその牙が向くとつらいな、とジールは思いながらも、反撃できない自分に笑った。
「ジールさん…?」
はっ
後ろに振りかえるとチアキが眉をひそめながらジールを見ていた。
「…なに、のぞき見?趣味悪いね、ちあきちゃん」
「…今の……アオイさん…」
「わかっていたんでしょ?俺は話したはずだよ。あいつは心を売ったんだ。だから、何にも感じない。俺だって殺される。これは時間の問題なんだよ」
「……」
チアキは何も言わず、ジールの腕を引っ張った。
自分の寝る場所に招くと、「ここで待ってて」といって部屋を出て行った。
ジールは一体何をするつもりか分からないまま、とりあえずすることもないので言われたとおりに待ってみた。
[*前][次#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!