5
「殺す。殺す。殺す…お前を、殺す…!」
体を翻し、着地を決めるとアオイはとうとう集めた風を己の剣へと纏わせ、大技を出すために構える。
もう、表情は力に餓える、殺しに飢える、悪魔そのものでしかなかった。
アオイの頭には何度もとりつく悪魔のささやきが聞こえる。
男を殺してやれと。
そして自分を助けてやれと。
男を殺せば、それが彼にとっても救いになるんだ。
これは必要な犠牲なのだ。
―――――――――だから殺してやれ、と
「ああ、殺してやるよ…!!」
「アオイさん、だめ――!!!」
剣を振りかざし、全ての大気のエネルギーを解放する瞬間。
その場にふさわしくない、少女の声が最後に聞こえた。
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