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「チアキ!おい、チアキっ!」
悲鳴や叫び声が混じる中、アオイの声はたやすくかき消されてしまう。
それでも必死に別れてしまった彼女の名を呼んだ。
「くそっ、おい邪魔だ!!」
人の流れからなんとか脱したアオイは自分が中央広場にいるんだなと悟った。そして、空を見上げる。
黒いローブに纏う男が不自然にも浮いていた。
また、その手には街を襲う赤い炎の種を握っており、炎の行方を操っている様子だった。
「…あいつが黒か…仕方ねぇ…な!」
片手に風の渦を集めると空へと勢いよくそれを放った。
空気砲、は標的である黒いローブの男にまっすぐに飛んだが、ぶつかる瞬間炎に焼かれ、消失してしまう。
「……」
男はようやくアオイの存在に気づき、空から降りて大地に着地すると距離をとって一瞥した。
「なんの権限で街を焼いてんだてめぇは」
「……探しているんだ。人をな」
「探すのに焼く必要はねえだろ?馬鹿かお前。」
男は炎の制御をあきらめると、手のうちから炎を消し、顔を隠していたローブを下ろした。
「っ、お前…は…」
「久しいな、アオイ」
久々にアオイは自分が息を飲んでいる事に気づく。
衝撃的な出会いに身体がガクガクと震え出し始めた。
フードから現れたのは真っ赤に染まる長い髪。
そして顔から首筋にかけて炎の紋章が伸びていた。そして細くきれいに伸びる眼もとには古代文字の番号が刻まれている。
――――2と、
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