15
ジジジー…
ノイズの中に現れた一場面。
まるで古い映画のワンシーンを見ているようだった。
この街の中央広場にて、大勢の人たちが蜘蛛の子を散らすように逃げる様がでてくる。
そして赤い炎がけたたましい音を立てながら一気に街を包んでいった。
また、ところどころ瓦礫の山が音を立てて、形を変えていくまさにこの映像は無残になる街の未来だった。
中央にいるのは自分とアオイさんと見知らぬ黒い男。
その黒いマントを纏った男がそのフードから顔を晒す。
顔には首筋まで長く伸びた漆黒に染まる刺青が目にとまった。
ジジジジジー…
一気に話は飛び、アオイの表情は豹変していた。
眼は紅に光らせ、とがった牙をむき出しに、そして冷酷にも邪悪に染まった笑顔で剣を構えた。
『ああ、殺してやるよ…!!』
大きく振りかぶった剣には目にも見える漆黒に染まる大気の渦が吹き荒れており、一瞬でアオイは台風の規模の風を解放させたのだった。
次の瞬間大きな爆裂とともに映像は途絶え、ノイズの音が頭に響く。
ジジジ…ジジ…
ノイズがだんだんフェイドアウトされていく。
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そして、チアキの顔色はすっかり青ざめたものに変わっていた。
(アオイさん…が?)
アオイさんがこれをやってしまうというの?
確かに映像ではアオイの容姿にも見えたが、その表情はまるで悪魔の化身にでも乗っ取られてしまったような、歪んだ笑顔だった。
嘘だと否定する自分がいる。
でも肯定する自分もいた。
だって、あの姿のアオイさんを私は見たことがあるのだから。
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