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二人はとうとうフォルテーシゥという街に着いた。

前の街とは大きく違って、裕福そうな人々ががやがやと町を騒がせていた。


入口からでもよく見える大きくて、今までとは違った装飾の施された屋根はアオイが以前話していた大教会である。


あっという間の旅路に、早いアオイとの別れに胸を痛めつつも、牽いてくれる手にチアキはついて行った。


「この大教会は、紛争や色んな事件に巻き込まれて身寄りがいなくなった者や、貧しくて一人では生きていけない者たちの面倒を見てくれる場所でもある。もちろん、身内の探索も引き受けてくれるから、お前の親もすぐに引き取りに来てくれるぜ?」

「………」



本当のことを話すべきではないのかと思いつつも、どうしても否定の言葉が出ず、ただうなずいた。



私の家族はここにはいない。

探してもいない。



『ここは、私のいた世界じゃないから。』




ふと、顔をあげると行きかう人中にいた、白い衣服を身に纏う女性の姿が見えた。


彼女もまた自分をまっすぐ見据えている。



「……?」


彼女のウェーブがかった長い髪が風に揺れている。


雪の花のような白さに思わず見とれてしまうが、自分以外彼女の存在に気づいているものはいないようだ。




【…………】

「貴方は…?」

【早ク逃ゲ…て…】




彼女の瞳は心を揺さぶるものがあった。


よくわからないけれど、何かを伝えてくれているらしい。


重なり合う視線。


チアキは彼女の瞳を眺めているうちに周囲がなにか違う情景が映し出されている事に気がついた。


「っ―――……!!」


そして、次の瞬間にたくさんの映像の断片が頭に流れ込んできた。


情報の多さに自分の意識が飛ばされそうになるが、ぎりぎりの境界線でチアキはそれを眺めた。




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