7
「……アオイ…さん」
「俺を、見るな」
「……」
紡がれるのは、冷たい言葉。
でもチアキはぎゅっと、手を体にまわしてみた。
トクン、トクン…
ほら、アオイの鼓動が聞こえる。暖かなぬくもりが伝わってくる。
「ごめん、なさい…。疲れたらいつでもおろしてくれていいよ?私重いし…」
「全然軽い」
「……」
トクン、トクン、トクン…
そう、これはまるで『音楽』みたいだね。
聞いたことがないはずなのに、ずっと前から知っていたような気がする。
不器用だけど優しさがこんなにも溢れている。
こんな綺麗なメロディーを私は聞いたことがない。
胸を切なく締め付けるくせに、不安を溶かしてくれる。
何度も教えてくれる、そばにいるよ、と私に教えてくれる。
うん、
ありがとう…
アオイさん……
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