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「……アオイ…さん」

「俺を、見るな」

「……」


紡がれるのは、冷たい言葉。
でもチアキはぎゅっと、手を体にまわしてみた。


トクン、トクン…


ほら、アオイの鼓動が聞こえる。暖かなぬくもりが伝わってくる。


「ごめん、なさい…。疲れたらいつでもおろしてくれていいよ?私重いし…」

「全然軽い」

「……」


トクン、トクン、トクン…



そう、これはまるで『音楽』みたいだね。


聞いたことがないはずなのに、ずっと前から知っていたような気がする。
不器用だけど優しさがこんなにも溢れている。

こんな綺麗なメロディーを私は聞いたことがない。


胸を切なく締め付けるくせに、不安を溶かしてくれる。


何度も教えてくれる、そばにいるよ、と私に教えてくれる。



うん、


ありがとう…


アオイさん……





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あきゅろす。
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