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*
「……」
宿にお礼を言って町を出た後もアオイはしばらく黙っていた。
チアキの体中に付けられた傷跡。
泣きそうで必死にこらえている顔。
震える、指先。
その全てがアオイを自己嫌悪へと導いていた。
「もう、大丈夫だ」
うそつき。
「お前はもう、大丈夫だから」
うそつき。
過去に自分が救えなかったチアキとは別の少女が訴える。
――――なんで、
まもってくれなかったの?
チリっ
「〜〜〜〜〜っ!!」
突然の頭痛が走り、歯を食いしばる。
…そうだ、俺は……。
アオイは、自分の浅はかな考えのせいで、チアキを一人で帰らせ、あのような事態を招いてしまったことを後悔していた。
無能さに、自分を責めていた。
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