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「……」


宿にお礼を言って町を出た後もアオイはしばらく黙っていた。

チアキの体中に付けられた傷跡。
泣きそうで必死にこらえている顔。
震える、指先。

その全てがアオイを自己嫌悪へと導いていた。


「もう、大丈夫だ」

うそつき。

「お前はもう、大丈夫だから」

うそつき。



過去に自分が救えなかったチアキとは別の少女が訴える。






――――なんで、
まもってくれなかったの?






チリっ




「〜〜〜〜〜っ!!」


突然の頭痛が走り、歯を食いしばる。


…そうだ、俺は……。


アオイは、自分の浅はかな考えのせいで、チアキを一人で帰らせ、あのような事態を招いてしまったことを後悔していた。
無能さに、自分を責めていた。


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