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目をうっすら開くと、チアキの心情にとても釣り合わない、ゆるんだ笑顔のジールがどアップに映っていた。





「!?じ、……ルさ…」

「ちーあきちゃーん!」

「――――っ!」



それだけでも大きな衝撃だったのに、ジールはチアキに向かって両手を広げて飛び込もうとする。


チアキは言葉も出ないまま、きっとジールが自分のほうに来ると全身硬くする。


だが、そんなことはなく、ジールは突如視界から吹っ飛んで消えた。


ドゲシッッ!!!!!!


「ぐあっ!!?」



事態の収拾がつかめないとチアキが思った矢先、現れた青年にすべて納得した。

やったのはアオイさんだと。


チアキの思ったとおり、足を突き出しているアオイは見るからに不機嫌そうに眉をしかめて、ジールに軽蔑のまなざしをむけている。


「………」

「ひ、ひどいよ、アオイさん!!」


ジールは蹴られた右の頬を押さえながら痛みを訴えるが、彼はうんともすんとも言わず、横を通り過ぎる。

ベットのすぐ近くにある小さなテーブルに、パンや暖かいスープ、そして水や果物など無言で並べた。

おそらく朝食を届けに来てくれたのだろう。




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