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朝。
今日も快晴で、雲無き空は神々しく世界を照らしている。
まるで、昨日の夜の出来事が全て嘘のようだった。
きっと明日も順調に晴れてくれたならば、この曇りかかった気持も綺麗さっぱり拭えてしまうんじゃないかと思った程だ。
でも実際は違う、
そんな簡単じゃないと心の底で分かっていた。
だって、まだしっかりと靄がかったものが胸に残っているから。
今まで知らなかった。
この後ろめたい気持ちや、他人の表情が、こんなにも心を締め付けるものになるなんて。
だから、チアキは余計に起きたくなどなかった。
いっそ、このまま眠れるなら永遠に眠ってしまいたい。
アオイを怒らせてしまったことに、まるで世界が終焉を告げているようで。
この気持ちは晴れなくて。
言わなかったから、いけないのかな…
チアキはあの時言われた言葉を思い出す。
「痛いなら、痛いといわねえと、俺だってわかんねえだろうが!!」
でも、自分の事なんかでアオイさんに迷惑をかけたくなかったから。
痛いと言えば、きっと心配してくれる。
でも、本当はそんな事、許されないんだ。
一番欲しかったものをくれた貴方に、私は何一つ返してあげられない。
それなのに、自分だけ貰い続けるだなんて、おこがましい…。
嫌い。自分が嫌い。
こんなただの荷物にしかならない自分が嫌い。
そして、心の底ではいつでも助けてもらえると、安心する自分が大嫌い。
自分なんて、大嫌い。
「―――――――?」
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