12 「ふふ、怖がるその眼もまたよい」 「は…離して……っ!」 馴れ馴れしく自分に触る男に、今自分が出せる精一杯の声をチアキは絞り出した。 「ほぉ……!いつの間に口がきけるようになったか!これは面白い。もっと楽しみが増えたというもの…」 きぃっと自分を睨む琥珀の視線をみて、男はにやりと笑った。 そして後ろにいる、男の護衛に手のひらを返して部屋から出ろと合図を送った。 ぞろぞろと護衛がでていく。 最後の一人が扉を出たと同時に、カチャリと鍵をしめた音が聞こえた。 完璧に二人だけになった事を確認できたら男は、チアキの瞳に映る自分の姿にわらった。 ――どんっ! チアキは押し倒され、男に上から乗っかられる。 頭を台座に強く打ち付けたのに、緩めることなくチアキの服に手をかけた。 「この服はどうしたのだ?男に媚びたのか、おまえのその瞳で」 「違うっ」 「お前にはそのつもりがなくとも、服をくれた男は乗る気だったたのかもしれんよ?」 「あなたとは、違う!彼は……そんな事はしないっ……!」 「ふふ、無自覚というのは本当に恐ろしいな……。ほら、私にも得意な瞳で媚びてみろ、ねだってみたまえ」 白い肌をみて男はさらにスピードをあげる。 抵抗しようと必死になって暴れるが、それは無意味なものでしかなかった。 そういえば……。 チアキは思い出した。 前にもこういうことがあったと。 以前はまだ未遂に終わったのだが…。 [*前][次#] [戻る] |