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「なんの御用だ。あなたは?」
警備隊の一人が施設の前で男に聞いた。
「俺だ」
フードを脱ぐと、警備隊のものが息をのむのがわかった。そして深くお辞儀をする。
でもこれは、アオイにとっては当り前の光景だった。
「一昨日あたりに突き出したあの商人と話がしたい」
「わ、わかりました…。ご案内いたします」
警備隊はアオイをある一室に案内した。
―――――面会室だ。
殺風景な部屋の中央に机と椅子があるだけで、寂しい部屋だ。
照明も薄暗く、窓もないため空気がじめじめしている。
「……」
一見、機具が設置されていないのもあって余計に広々として見えるのだが、実際は透明な壁が隔ててあるので、スペースはその半分しかない。
この壁の向こう側に犯罪者が現れる。この見えない壁は面会者が襲われぬようにとおかれる、安全性を確保するためのものだ。
実際自分には必要ないが。
「すぐに連れてまいりますので」
警備隊がまた深くお辞儀をすると、部屋を出て行った。
とりあえず、用意された椅子にすわり一息つくと、アオイは男の登場を待った。
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