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闇の中に埋もれた自分に意識が宿った。
窮屈だ。
ここは牢獄のようだった。
一点の光も許さない、深い深い海の底のようだった。
【大切ナモノヲマモレレバ、ソレデイイダロッ!】
体に巻き付く何かが更にきつく締め上げる。
【この世界でただひとりの大切な者を守れれば、それでいいだろっ!】
その声は間違いなく自分自身のものだった。
【なのになんでっ、なんで対価を渡さなかったんだ!
俺はこの理不尽な世の中で汚い世界でただ大切な者を守るためにはなんでもするって誓っただろう!!】
「ああ、そうだな…」
その訴えは間違いなく、自分の心の叫びだった。
俺はずっと誓いを守ろとした。
これまでは。
【憎かったんだろ世界も人も、お前を蔑んだその一族もっ!
何で自分はこんな目に合わなきゃいけないんだろうって思っていた!】
「そうだな…」
【お前はその憎しみを捨てきれなかった。涼しげな顔したって心では怒りが煮えたぎっていた!】
一族特有の能力。
龍眼の力。
聖霊を使役し、彼らの力により現実世界に実現させる能力。
まるで龍を宿した瞳で世を見極め、思いを定め、戦乱の世を生きていく希少な能力。
【お前には宿らなかった。聖霊なんて見えなかった。感じなかった。だから自分よりも格下な存在からぞんざいに扱われ、あしなわれ、虐げられてきた。癒えぬ体の傷はお前の無力さを指し示す紋章とまで馬鹿にされた。
一族は妹を覗いては皆敵と同じような存在だと、そう思ったんだろ?】
「……」
【命を掛けてお前を守ってきたのはハルだ。いつも心を理解してくれたのはハルだ。
だから『俺』は今度こそハルを助けようって決めたんじゃねえか、守らなきゃって誓ったんじゃねえか!
――――なのになんでだよっ!】
「……なんでだと思う?」
アオイは疲れたように笑って見せた。
何で契約を破ったのか、
お前が『俺』ならわかるだろ?
【………そんなこと…】
巻き付く力が弱まった。
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