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「チアキ?出てこないの?」

「……ダルディ…私ね…」

「うん…」

「知ってしまったんだ……アオイさんのこと…」



彼女は弱弱しく言った。あまりにも小さい声だから、僕まで不安になる。



「私…情けない…よ…」

「そんなことないよ」

「ずっとずっと自分の事ばかり考えてたの…でもね、それがすごく恥ずかしいことだって気づいたの…」


アオイさんが自分の心と記憶を差し出してまで、この世界の禁忌に手を伸ばしたのには大切な理由があった。



気をゆるむと、すぐに指が震える。声もうまく出せない。
でも、チアキは続けた。


「ネイティスさんが教えてくれたの…」




妹さんを。
助けるためなのだと。



「アオイさんが旅に出た理由も、アオイさんが今…アオイさんじゃなくなるってことも…」




チアキ、貴方には…伝えなくちゃいけないことがあるの。


アオイ・クロフォード…。

彼は、契約を破って領域を超えたわ。



領域?



人間である領域よ。
彼は契約した魔ものにとりこまれたの。
このままだと被害が広がるわ。だから討伐が…決定した。




……アオイさんが?
そんな…嘘だよ…



……私も討伐の命が任されてる。行かなきゃいけないの。
でも、その前に…貴方に彼を知ってほしいの。

禁忌を冒してまで契約した理由、今、その禁忌を破って身を滅ぼす羽目になった理由を。



「……チアキ…」

「私…私自分が嫌でたまらない…っ…!どうすればいいのか…わ…わっ…わかんないよ…っ!」



ネイティスの言葉一つ一つが胸に突き刺さった。


どれ程自分は守られていた存在なのだろうと。

どれ程自分は見えてなかったのだろうと。



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あきゅろす。
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